スエードスニーカーを履き込んでいると、購入時にはきれいに揃っていた毛並みが寝てしまったり、部分的にボサボサと毛羽立ってしまったりすることがあります。
「もう元には戻らないのでは?」と思ってしまいがちですが、起毛そのものが残っている状態であれば、クリーニングや保湿、毛起こしによって風合いを整えられるケースも少なくありません。
ただし、カミソリや毛玉取りなどでむやみに毛を削ってしまうと、かえって起毛を傷めてしまうことも。
本記事では、スエードの毛羽立ちを復活させる基本的な手順から、毛羽立つ原因、避けたいお手入れ方法、きれいな状態を維持するためのケアまで順番に解説していきます。
スエードの毛並みやボサボサした見た目が気になっている方は、ぜひ参考にしてみてください。
スエードの毛羽立ちを復活させる方法
スエードの毛羽立ちを整える場合、いきなりブラシで強くこするのではなく、まずは素材の状態を整えてから毛起こしをするのがポイント。
基本的には、下記の順番でケアしていきます。
- クリーニングできれいな状態にする
- スエードを保湿
- 必要に応じて色褪せを補色
- 真鍮ブラシで毛起こし
それぞれの工程を詳しく見ていきましょう。
クリーニングできれいな状態にする
まずは毛起こしをする前に、スエード表面や起毛の間に入り込んだ汚れを落としておきます。
汚れが残った状態でそのままブラッシングすると、汚れを広げたり、起毛の奥へ押し込んでしまいます。
乾いたブラシでホコリなどの表面汚れを落とし、スエードに対応したクリーナーを使ってきれいな状態にしておきましょう。
なお、この記事では毛羽立ちを復活させるアフターケアをメインに紹介しているため、スエードスニーカーの詳しいクリーニング方法については下記記事で解説しています。
スウェードの洗い方完全ガイド|正しい手順とトラブル対処法を徹底解説
スエードを保湿

クリーニングできれいにした後は、乾燥したスエードにうるおいと栄養を与えていきます。
スエードは天然皮革を起毛加工した素材のため、履き込みやクリーニングを繰り返すことで革内部の油分や水分が減り、パサついた質感になってしまいます。
そこで使用するのが皮革素材に保湿ができる「シューモイスチャーミスト」。
レザーだけでなくスエードやヌバックにも使用できる栄養ミストで、毛起こし前のコンディションを整えるのに◎。
全体へ均一に吹きかけたら、タオルなどで軽く押さえるようにしてなじませましょう。
一度に大量に吹きかけるのではなく、表面の状態を確認しながら少しずつ施工するのがポイントです。
+α 色褪せたスエードに補色

毛並みだけでなく、スエード全体の色褪せや白っぽさが気になる場合は、別途補色用アイテムを使ったケアもおすすめです。
「スエードリニュー」はスエードやヌバックなどの起毛革に栄養を与えながら、使い込むことで失われた色の深みを整えるためのアイテム。
スポンジ一体型の容器になっているため、色褪せが気になる部分へ少しずつ塗り広げていくだけでOK。
ただし、この工程は毛羽立ちを直すために必須というわけではありません。
毛並みだけが気になる場合は保湿から毛起こしへ進み、色褪せも同時に気になる場合のみプラスして行えばOKです。
真鍮ブラシで毛起こし

最後に、寝てしまったスエードの起毛をブラシで立ち上げていきます。
使用するのは、馬毛と真鍮の2Way仕様になっている「ユーティリティブラシ」の真鍮面。
真鍮ブラシは通常の柔らかいブラシよりも起毛へしっかりとアプローチできるため、寝てしまった毛を立ち上げるのに◎。
ただし、硬い真鍮ブラシだからといって力を入れる必要はありません。
手首を使って表面を軽くなでるようにブラッシングし、少しずつ起毛を立ち上げていきます。
最初は毛並みに逆らう方向も含めてブラシを動かし、全体の起毛が立ったら最後に毛並みを整えるようにブラッシングすると仕上がりもきれい。
一度で完璧に整えようとせず、状態を確認しながら少しずつ進めるのが失敗を防ぐポイントです。
ちなみに、今回紹介したクリーニングから毛起こしまでの一連の流れを実際の作業で見たい方は、下記動画もあわせてチェックしてみてください。
スエードが毛羽立ち・ボサボサになる原因

スエードの毛並みが乱れる原因はひとつではありません。
主に考えられるのは、下記の3つ。
- 摩擦によって毛並みが乱れる
- 水濡れやクリーニングによって毛が寝る
- 汚れや乾燥によって起毛感が失われる
原因によって見た目や状態も少しずつ異なるため、自分のスエードがどの状態に近いのか確認してみましょう。
摩擦によって毛並みが乱れる
スエードは細かな繊維が表面に立っているため、日常的な摩擦によって毛並みが乱れやすい素材。
歩行時の擦れはもちろん、パンツの裾が当たる部分や、スニーカー同士が接触しやすい箇所などは特に起毛が乱れやすくなります。
また、汚れを落とそうとして硬いブラシで強くこすり続けることも毛羽立ちの原因になり得るため注意が必要です。
水濡れやクリーニングによって毛が寝る
雨などでスエードが濡れたり、クリーニング後の起毛をそのまま乾かしたりすると、毛同士がまとまって寝た状態になることがあります。
この状態は「毛羽立ち」というより、起毛が表面へ張り付いて本来のふんわりした質感が失われているイメージ。
特に濡れた状態のまま毛並みを整えず乾燥させると、部分的に質感が変わって見えることがあります。
汚れや乾燥によって起毛感が失われる
起毛の奥にホコリや皮脂などの汚れが蓄積すると、細かな毛同士がまとまり、スエード特有の柔らかな見た目が失われることがあります。
さらに、革が乾燥して硬くなることで起毛自体のしなやかさがなくなり、パサパサとした見た目になることも。
革の乾燥は防ぐことのできない経年劣化のため、擦れなどに気を付けて履いていても、ノーメンテの場合は次第にパサついた質感になってしまいます。
身近なものでスエードの毛羽立ちを解消はできるか

スエードの毛羽立ちの対応策として、専用品以外にも身近なアイテムを使った方法をネットで見かけた方もいるかもしれません。
代表的なのが下記の3つを使った方法です。
- カミソリ・バリカン
- 毛玉取り
- ライター
確かに表面へ飛び出した毛を取り除くことはできますが、スエードは一度削った起毛を元通りにできないため注意が必要。
それぞれどんなリスクがあるかを順番に見ていきましょう。
カミソリやバリカンは削りすぎに注意
カミソリやバリカンを使えば、表面から長く飛び出した毛を短く整えること自体は可能。
ただし、スエードの起毛までまとめて削ってしまうと、その部分だけ毛足が短くなり、周囲との質感に差が出てしまう可能性があります。
特に電動バリカンは一度に広い範囲へ刃が当たるため、削りすぎには要注意。
まずはブラッシングで毛並みを整え、それでも明らかに長い毛だけが残っている場合に限り、素材へ刃を押し付けないよう慎重に扱う程度にとどめておくのが安心です。
毛玉取りも起毛を取りすぎる可能性がある
衣類用の毛玉取りも、ボサボサした表面を見ると使いたくなるアイテムのひとつ。
しかし、スエードの表面に見えている細かな毛は「不要な毛玉」ではなく、素材本来の起毛です。
毛玉取りを強く当てると必要な起毛までカットしてしまい、部分的に薄く見える原因になる可能性があります。
スエードの毛羽立ちは「余計な毛を全部取る」のではなく、残っている起毛を整えて本来の毛並みに近づけるという考え方でケアしましょう。
ライターで毛羽立ちを焼く方法は避ける
飛び出した毛をライターの火で焼いて処理する方法もありますが、自宅でのスエードケアとしてはおすすめできません。
火を近づけることで必要な起毛まで焼けたり、表面が焦げたり、色味が変わったりする可能性大。
一度熱によってダメージを受けた革を元の状態へ戻すのは難しいため、わずかな毛羽立ちを整えるために負うリスクとしては大きすぎてNGな方法です。
スエードの毛が寝た・なくなった場合も復活できる?

一見すると同じように見えるスエードの劣化でも、
- 毛が寝ているだけの状態
- 摩耗によって毛自体がなくなっている状態
では、復活できる可能性が大きく異なります。
ケアを始める前に、表面をよく確認してみましょう。
毛が寝ている場合は毛起こしで対応
表面をなでたときに毛の向きによって色の濃淡が変わったり、寝ているものの起毛自体が確認できたりする場合は、毛起こしによって風合いを整えられる可能性があります。
基本的な方法は、記事前半で紹介したユーティリティブラシによる毛起こしと同じ。
いきなり真鍮ブラシを強く当てるのではなく、起毛の状態を見ながら軽い力で少しずつ立ち上げていきましょう。
乾燥してパサついている場合は、その前に保湿まで行っておくとよりケアしやすくなります。
毛がなくなった・剥げた場合は完全な復活が難しい
起毛が寝ているだけの状態とは違い、摩擦などによって起毛そのものが削れて表面がつるつるしている場合はブラッシングだけで元の状態へ戻すのは難しくなります。
毛起こしはあくまで「残っている起毛を立てる作業」のため、失われた繊維を新しく作ることはできません。
色味が薄くなっているだけであればケア用品によって見た目を整えられるケースもありますが、起毛自体が完全に削れている場合は別問題。
お気に入りの靴や高価なスニーカーであれば、無理に自宅で削ったり加工したりせず、起毛革に対応した修理店へ相談することも検討しましょう。
スエードの毛羽立ちを防ぐための手入れ

一度きれいに整えたスエードは、毛羽立ちがひどくなってからまとめて直すよりも、日頃から軽くケアしておく方が良い状態を維持しやすくなります。
難しい作業を毎回する必要はなく、
- 履いた後は軽くブラッシングする
- 濡れたまま放置しない
- 定期的に保湿・防水ケアをする
この3つを意識するだけでも、毛並みの乱れや汚れの蓄積を防ぎやすくなります。
履いた後は軽くブラッシングして毛並みを整える
スエードを履いた後は、表面に付着したホコリを落とすついでに軽くブラッシングしておくのがおすすめ。
汚れが起毛の奥へ入り込む前に払い落とせるだけでなく、着用中に乱れた毛並みもある程度整えることができます。
日常的なブラッシングでは、クリーニングで使用するような柔らかいブラシでOK。
軽くホコリを払い、最後に毛並みの向きを揃える程度で十分です。
濡れたまま放置せずしっかり乾燥させる
雨などでスエードが濡れた場合は、そのまま玄関へ置きっぱなしにせず、表面の水分をやさしく拭き取ってから風通しの良い場所で乾燥させましょう。
早く乾かしたいからといって、ドライヤーの温風やストーブなどで急激に乾燥させるのはNG。
急激な乾燥は天然皮革の負担になりやすいため、基本は自然乾燥です。
完全に乾いた後に毛並みを確認し、必要であれば軽くブラッシングして整えておきましょう。
定期的に保湿・防水ケアを行う
スエードの良い状態を維持するには、汚れを落とすだけでなく乾燥と水濡れを防ぐケアも大切です。
乾燥やパサつきが気になってきたらシューモイスチャーミストなどで栄養を補給し、ケア後にはスエード対応の防水・防汚スプレーを施工しておくと◎。
防水スプレーによって水分や汚れが起毛の奥へ入り込みにくくなれば、日常的なブラッシングで落とせる汚れも増え、その後のお手入れも楽になります。
なお、保湿剤などと防水スプレーを併用する場合は、先に起毛革のケアを済ませ、最後の仕上げとして防水スプレーを使用しましょう。
まとめ|スエードの毛羽立ちは正しい毛起こしで整えよう
スエードの毛羽立ちやボサボサした見た目は、起毛が残っている状態であれば、クリーニング・保湿・毛起こしによって整えられる可能性があります。
大切なのは、飛び出した毛をいきなり削ってしまうのではなく、まずは素材本来の毛並みを立ち上げて整えること。
カミソリや毛玉取りなどは便利に見えますが、一度削ってしまった起毛は元には戻せません。
まずはブラシによる毛起こしから試し、乾燥や色褪せが気になる場合は状態に合わせて保湿や補色も取り入れてみてください。
日頃から軽いブラッシングや防水ケアまで続けておけば、スエードらしい柔らかな風合いも維持しやすくなります。










